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資金繰りが厳しくなってくると、売上は簡単に増やすことができないため、社内の経費を節約しようとします。
経費削減です。
この経費削減ですが、「経費一律〇〇%カット」とする会社も多いですが、経営面から見るとあまりいい方法ではありません。
経費を削減するときには、一律ではなく、一定の基準を設けたうえでそれに沿って実施したほうが、利益面と経営面ともにいい結果が出やすくなります。
・赤字会社が多いのはなぜ?
・固定費には慎重に
・経費の一律カットは危険
・経費を3種類に区分する
・当事務所の取り組み
中小企業診断士協会が提示している『中小企業の財務指標 令和元年』によると、中小企業全体の売上高総利益率は、約26%だそうです。これは、仕入先や外注先に対する支払が、売上の7割超を占めていることを示しています。
この約26%の中から、従業員に対するお給料や会社の家賃などの支払い、金融機関への利息の支払いをするため、売上高経常利益率は、約4%ほどになります。
このように、最終的に会社に残る利益は、売上金額とは比べ物にならないほど少なくなってしまっています。
これだけ低いパーセンテージであるため、すぐに赤字に転じてしまう可能性が高いのです。
経費のなかでも、一番慎重にならなければいけないのが、固定費です。
会社は、将来の成長した姿を見越して、人員を増やしたり設備を拡張したりします。会社は、見込み売上高をベースとして、粗利益や諸経費を見積もって利益構造を作り上げていきます。
ですが、実際の売上が見込み金額に達していないと、諸経費を支払う原資となる粗利益の金額が小さくなってしまいます。
そのような場合は諸経費の見直しを図る必要がありますが、諸経費のうち固定費はすでに支払う金額が固定されているため、当初の利益構造のままだと損失になってしまう可能性があります。
このため、固定費となるような契約(例えば会社の家賃であったり、複合機のリース契約など)は、慎重に判断するようにしましょう。特に創業当初は、必要でないものも結構あります。
売上が目標どおり達成できなかった場合や、安定した売上を確保することが難しくなった場合には、経費削減をするしかありません。
これは、新しい売上を目指すよりは、経費を削ったほうが社内のみで完結することができ、操作しやすいためです。
経費削減にあたっては、冒頭にも書きましたが、間違っても『経費一律〇〇%カット』だけはやめてください。
一律カットをすれば、その分経費が少なくなりますので利益は出やすいように見えますが、実際はそうではありません。むしろ利益が出にくくなる可能性の方が高いのです。
消耗品費を削減したり水道光熱費を削減したりするくらいならいいのですが、売上に貢献するような費用、例えば交際費であったり出張費などは、いきなり削減するのはかなり危険です。
とくに交際費は、その後の事業展開にも関わってくるため、将来の売上を事前に潰してしまいかねないからです。交際費の削減はどの会社でも行っていると思いますが、削減をするときには『だれが』『どこに』『どの目的で』『いくら使うか』を一度見直してみてからにしましょう。
また、人件費にも気を付けてください。
賞与の支給額を、従業員一律〇〇%カットとしようものなら、せっかく会社の売上に貢献している社員の分もカットされてしまい、会社に対する忠誠心が失われかねません。その結果、退職してしまい売上が減少してしまっては元も子もありません。
そのほか、広告宣伝費や販売促進費など、お客様に対する活動費用については一律カットではなく、その内容を精査したうえで取捨選択するようにしましょう。
では、実際にどのように経費削減をしていくかですが、まずは会社の経費を次のように3種類に分類してください。
A.直近の資金を得るための経費
B.将来の資金を得るための経費
C.会社の維持管理に必要な経費
3種類に区分するのは、残すべき経費を判断できるよう優先順位をつけるためです。
まず一番最初に削るべき経費は、Cの会社の維持管理に必要な経費です。
これは、資金を獲得しないのに発生している経費で、例えば事務管理部門の経費であったり、余分な倉庫の契約料などを指します。
本当は会社の家賃を減額したいところなのですが、固定費ですので、そう簡単には削ることができません。ですが、最近はテレワークなども普及し始めているので、この機会に会社の箱物の規模を小さくするために、移転も視野に入れてもいいかもしれません。
次に削るべき経費は、Bの将来の資金を得るための経費です。
ここでは、資金として会社に戻ってくる期日が遠い順に削減していきます。
まずは今から1年後くらいに立ち上げる予定の新規事業や新商品の開発費用等をストップしてください。半年~1年以内に回収できる見込みが少ない事業についても、一旦ストップします。経常的に生じていて、効果の薄い広告宣伝費や販売促進費もストップしてください。
BとCの経費を上手く削減できれば、かなりの経費を削減することができ、会社にお金が貯まりやすくなります。
また、経費を3種類に区分するということは、会社の経費について一度見直しを行わないと区分することはできません。
経費削減に成功した後でも、この作業を行うことによって、今後の事業活動にてどの経費をどの程度かけるのが会社として適切なのかが、判断しやすくなると思います。
当事務所では、税務相談や税務申告のほかに、資金繰りや資金調達、経営分析に力を入れております。
経費を削減するときには、その経費がどのような経路を辿ってどのくらい売上に貢献しているかを見極めなければなりません。見極めたうえで、上記の『A』『B』『C』と分類してから、経費削減を実行していく必要があります。
資金繰りの改善を図りたい方、これからの資金計画について不安がある方は、ぜひ当事務所にお問合せください。