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経営に必要な資金について、全て『自己資金』で賄おうとする方もいれば、自己資金と『借入』を併用する方もいます。
その会社の事業内容であったり、目標としている会社の規模によって必要な資金が異なってくるため、どちらが正解とは言えません。
ですが、一つ言えることは、借入による経営(資金調達)を選択したほうが、確実に事業の成長スピードは速くなります。
ここでは、自己資金のみで経営する場合と借入も活用して経営していく場合の違いや、借入によるコストのことなどを記載していきます。
・自己資金のみでの経営
・借入も活用した経営
・資金調達方法別のコスト
・まとめ
・当事務所の取り組み
自己資金のみで経営を続けていくと、その会社に貯まっていく資金の原泉は、会社が出した利益だけです。
利益はコンスタントに出すことが理想的ですが、実際の経営は山あり谷ありで、安定して貯められる資金ではありません。また、利益が出ても税金が課かってくるため、実際に会社に留保できる金額は、税引後の利益となります。
そのため、自己資金のみで経営を続けていく場合には、毎年変動する可能性のある税引後の利益をコツコツと貯めていくことになるため、長期的な経営計画を立てるのは難しくなってしまいます。
自己資金に加えて、金融機関等からの借入をして経営を続けていった場合には、会社に貯まっていく資金は、会社が出した利益だけでなく借入した金額が加わります。
利益のみを資金源とした場合には、利益には税金がかかりますので、税引後の利益の資金のみで経営を続けていくことになりますが、借入をした場合には、その税引後の利益の何倍もの資金を手に入れることができます。言い換えれば、何年間か継続的に利益を出さなければ貯められなかった資金を一度に手にいれることができます。
もちろん期限がきたら返済する必要がありますが、一時的にでも大きな金額を手に入れることができるため、自己資金のみでは出来ないような経営計画を立てることが出来ます。
また、期限が到来したらきちんと返済することによって金融機関に対しての返済実績を作り、借入により得たお金で事業を拡大して、利益を増やし、その実績によりまた借入をして事業を拡大する...というように、どんどん連動してお金が増えていくようになります。
借入を活用した経営は、会社の成長スピードを飛躍的に向上させることができます。
絵にかいた餅のように思われるかもしれませんが、会社は利益を出さなければ継続することができないため、その利益を出す手段として借入を選択しているだけのことです。
このように、借り入れたお金は、将来にわたって計画的に経営をすることの手助けをしてくれます。
金融機関から借入をすることにより、生じるコストは『利息の支払い』です。
では、この『利息の支払』コストは、その他の資金調達の方法に比べて、有利なのでしょうか?不利なのでしょうか?
資金調達の方法は、『金融機関からの借入』『株式の発行(増資)』『利益の内部留保』の大きく三つに分けることができます。
金融機関に支払う利息(支払利息)は損益計算書上では費用になるため、その支払分に税率を乗じた部分の税金が安くなります。
支払利息には一種の節税効果があるので、その借入による実質コストは、
実質コスト=支払利息×(1-実効税率)
となります。
増資によるコストは、株主に対する配当です。
支払配当は、損益計算書上では費用にならないため、税引後の最終利益から捻出することになります。そのため、増資による実質コストは
実質コスト=支払配当
となります。
中小企業の場合には、株主がそのまま社長であることが多いため、配当を出さない会社がほとんどです。そのため、実質コストは無いのではないか...と思われるかもしれませんが、それは違います。
株主が社長で出資している、ということは、その増資分の金額は社長の懐から出ているということです。その懐から出ている原資は、会社がその社長に対して支払った役員報酬であるため、所得税や住民税の税引後の手取り額から拠出しています。
中小企業の場合は、この天引きされた税金が、出資のコストとなってきます。
所得税はその所得によって税率が上がっていく超過累進税率を採用していて、住民税はその所得の約10%が課されますので、出資による資金調達は、かなり割高な資金調達方法であることがわかります。
最後の資金調達方法は、利益をそのまま会社にとどめておく内部留保です。
利益を経常的に出すことにより資金を獲得していく方法は、経営の王道中の王道ですが、この利益は法人税・住民税・事業税(法人税等)を支払った後の金額です。
そのため、内部留保をする際の実質コストは
実質コスト=法人税・住民税・事業税
と見ることができ、増資と同様に、割高な資金調達方法ということがわかります。
①②③のように、一番の王道である内部留保には、全くコストが無いように見えても、実は税金というコストを支払っていて、これは配当も同様です。
金融機関の利率は、令和3年10月時点では、平均2%~4%です。
法人税等の実行税率は約34%(東京都)ですし、配当利率を仮に金融機関利率の最大利率の約4%としても、実質コストは、税金分を控除できない配当の方が不利になります。
そのため、一番コストがかからないのは、節税効果もある借入によるコスト、ということになります。
借入は、利息の支払いがあるから高くつく...と言う方が一定数います。
これはおそらく、借入の場合は、利息の支払いが資金調達コストであるため『借入』という行為に直接紐づいているのに対して、出資や内部留保は、税金の支払が資金調達コストとなり間接的な紐づけになっているからなのではないかと思われます。
会社の成長スピードを速めるため、資金調達コストを割安にするためにも、資金調達をするときには『金融機関からの借入』をまず第一に検討しましょう。
当事務所では、税務相談や税務申告のほかに、資金繰りや資金調達、経営分析に力を入れております。
金融機関は、決算書や試算表から、会社の実績を見て融資を実行するか否か判断しますが、そのアピールの仕方にはコツがあります。コツといっても粉飾をするわけではなく、見せ方によって金融機関の印象が変わるのです。
積極的に金融機関から借入を行いたい、または行う予定のある経営者の方は、一度ご相談ください。
また、創業融資にも力を入れているため、創業をお考えの方も、お気軽にご相談ください。