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購入や支出したときの金額が30万円未満の場合には、その金額を全額費用計上できるという話は、顧問先の社長からもよく耳にします。
ですが、償却資産税との関係性については、あまり知られていないような気がします。
ここでは、30万円未満の場合の取り扱いを紹介した後に、償却資産税との関係性も紹介していきます。
・原則的な取扱い
・10万円未満の場合
・20万円未満の場合
・30万円未満の場合
・注意点!
・まとめ(金額と費用計上と償却資産税)
テーブルや椅子などの備品や車、内装設備等をした場合には、それらを『器具備品』『車両運搬具』『建物附属設備』など、適切な科目を選択して計上します。これらを有形固定資産といいます。
有形固定資産は、購入や支出した金額を一度に全て費用として計上できるのではなく、原則として『減価償却』という方法により費用化していきます。
『減価償却』とは、物を使用したり、年数の経過によって減少していく価値を数値化したもので、法令で定められた年数・償却方法により、購入や支出に要した金額を各年に配分していく方法です。
例えば、普通の乗用車であれば、6年間にわたり定率法という償却方法に従って、『減価償却費』として費用計上していきます。
1個又は1体の価格が10万円未満の場合には、減価償却の方法に依らずに、その購入又は支出した金額を、一度に全額費用として計上することができます。
これは、小さな金額までも、わざわざ6年や15年に引き伸ばすことは、事務を煩雑にさせるだけで税金の計算にそれほど影響しない、即ち少額不追及の考えに基づいて規定されています。
もちろん減価償却の方法を選択することも出来ますが、実務上ではほとんどの場合、そのまま全額を費用として計上します。
また、全額を費用として計上した場合には償却資産税の対象になりませんが、減価償却を選択した場合には償却資産税の対象になります。
1個又は1体の価格が20万円未満の場合には、減価償却の方法に依らず、その購入又は支出した金額を、3年間にわたり均等に償却することができます。これを『一括償却』といいます。
『一括償却』では、一括償却として選択した資産を全て合算し、その合計額に12/36(所得税の場合には1/3)を乗じて計算した金額を、減価償却費とみなします。
これも、上記の10万円未満の場合と同様に、減価償却の方法を選択することもできますが、実務上では『一括償却』の方法を選択することが多いです。
また、一括償却を選択した場合には償却資産税の対象になりませんが、減価償却を選択した場合には償却資産税の対象になります。
1個又は1体の価格が30万円未満の場合には、減価償却の方法に依らず、その購入又は支出した金額を、一度に全額費用として計上することができます。これを『中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例』といいます。......名称、長いですよね。
一見すると10万円未満と処理が同じですが、要件や金額の上限があり、償却資産税の取り扱いも異なっています。
青色申告をしている法人・個人で、中小企業者等に該当すれば、この規定の適用を受けることができます。
中小企業者等は法人と個人では要件が異なっており、法人の場合の中小企業者等とは、従業員が500人以下である必要があります。
また、資本金が1億円以下で、大規模法人(資本金が1億円超だったり、資本金が5億円以上の法人の完全子会社など、一般的にみて大きな会社)に直接1/2を保有されていたり、2/3を複数の大規模法人に保有されている法人以外の法人をいいます。
一方、個人の場合の中小企業者等では、資本金の概念がないため、従業員が500人以下の個人事業主であればいいとされています。
これまでの規定とは異なり、この規定は適用できる範囲が定めれています。
その金額の範囲は、事業年度(個人の場合にはその年)の1年間で300万円までとなっていて、300万円を超える部分の資産については、通常の減価償却資産として扱われてしまいます。
例えば、28万円のテーブルを11個購入したとします。
全てを合計すると308万円(28万円×11個)となってしまい、300万円を超えてしまいます。この場合には、10個までは300万円の範囲(28万円×10個=280万円≦300万円)に入るため、全額を一気に費用計上することによって適用を受けることが出来ますが、残り1個の28万円は通常の減価償却の計算をしなければならないため、耐用年数に基づく減価償却費を計上していくことになります。
このように、金額の範囲が決められているため、30万円未満だからといって買いすぎてしまうと、節税効果が得られない部分も出てきます。
この規定の適用を受けると、償却資産税の対象となります。
20万円以上30万円未満の場合には、どの方法を選択しても償却資産税の対象になります。
これらの規定で注意すべきことは、消費税の取り扱いです。
会計処理をするにあたって税込経理とするか税抜経理とするかは、会社や個人によって自由に決めることができますが、上記規定の金額の判定では、その処理した金額によって判断することになります。
例えば、税抜で28万円のテーブルがあったとして、税抜経理ならば30万円未満のため、青色申告をしていて中小企業者等であれば全額を費用計上することができますが、税込経理の場合には30万円を超えてしまうため、通常の減価償却計算をしなければならなくなります。
節税効果を多く得たいのであれば、税抜経理をすることをお勧めします。
上記の規定と償却資産税の関係を図にすると次のようになります。
これらは文章よりも図で見たほうがわかりやすいので、ご参考ください。
減価償却 | 少額資産 | 一括償却 | 中小企業者等 の特例 | |
10万円未満 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
10万円以上20万円未満 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
20万円以上30万円未満 | 〇 | × | × | 〇 |
30万円以上 | 〇 | × | × | × |
償却資産税 | 対象 | ー | ー | 対象 |
※このように、償却資産税のことも考慮すると、30万円未満だからといって、全てを中小企業者等の特例を選択するのではなく、一括償却資産の検討もする必要があるということがわかります。
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