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事業が順調に拡大していくと、その分資金が必要になってくるため、必ず資金が足りない状態になります。
そうすると、新たに融資の申請をする必要が出てくるわけですが、そのときに検討したほうがいいのが『借り換え』です。
『借り換え』は、返済が厳しいときだけでなく、新規融資を受けるときにも考えるべき融資形態です。
ここでは、『借り換え』について説明していきます。
・融資の借り換えとは?
・借り換えのメリット
・借り換えの注意点
・パターン別の借り換え
・当事務所の取り組み
融資の借り換えとは、既存の融資が残っている状態で新しい融資を受けたい場合に、新しく受けた融資の中から既存の融資の元本を全額返済しつつ、残った融資額を事業に充てる融資の形態をいいます。
例えば、既存の融資の残高が900万円残っていて、追加で1,500万円の融資を受けたい場合には...。
新規の融資を2,400万円で受けて、既存融資の残高900万円を返済します。そうすると、融資残高が1,500万円となるため、追加で新規融資1,500万円を受けたのと同じになります。
これを、融資の借り換えといいます。
これだけ見ると、「別に新規に融資1,500万円受けたのと何も変わらないし、やる意味がないのでは」と思いますが、返済期間や返済金額などを考慮すると、色々とメリットが見えてきます。
では、融資の借り換えをすると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
メリットは『毎月の返済負担』が、借り換えをすることによって、軽減されます。
先ほどの例に、少し条件を付け加えて説明します。
既存融資:残高900万円
(返済回数残り30ヶ月、毎月30万円返済)
新規融資:1,500万円
(目安として返済期間60ヶ月、毎月25万円返済)
1,500万円について、新規融資を通常どおり受けると、最初の30ヶ月の間の毎月返済額が55万円(30万円+25万円)となり、残り30ヶ月の毎月返済額が25万円になります。
ここで、借り換え目的で2,400万円の融資を受けて、900万円返済します。この融資の返済期間を60ヶ月とすると、毎月の返済額は40万円になります。
毎月の返済額を比較してみると、
・追加融資の場合:最初30ヶ月→55万円 残り30ヶ月→25万円
・借り換えの場合:60ヶ月にわたって40万円
となり、最初の30ヶ月については、450万円ほど資金に余裕ができます。
数字ばかりで少し見にくいかもしれませんが、借り換えは全体の返済期間を延ばすと同時に、返済負担が軽くなり、運転資金に余裕が生まれてくるのです。
新規融資を検討するときには、借り換え出来ないかをまず提案しましょう。
とても便利な借り換えですが、注意しなければならないこともあります。
・既存融資が、特定の制度融資である場合
・既存融資が繰上げ返済をすると違約金など罰則がある場合
これらに該当する場合には、借り換えできない融資である場合が高いので、事前に調べておくといいでしょう。
また、既存融資と借り換え先の融資の金融機関が異なる場合には、既存の金融機関との関係が悪化する可能性があるので、注意しましょう。
最後に、パターン別による借り換えに対する考え方について説明します。
借り換えと一言で言っても、プロパー融資なのか、保証付融資なのか、同じ金融機関なのか、異なる金融機関なのかによって、会社側にとって有利になる場合もあれば不利になる場合もあります。
パターン別に見ると、その違いや特性が見えてきます。
借り換えとして、一番正統派のパターンです。
このパターンでは、会社の業績が良ければ希望通りの融資額を受けることが出来ますが、業績が停滞していたり、減少傾向である場合には、既存融資の当初融資額までの金額しか、借り換えで受けられないかもしれません。
これは、借り換えとは言っても、別の金融機関での融資審査を受けているので、新規融資と変わりありません。
借り換えにより得た融資額で、既存融資を返済してもいいですし、返済しなくても構わないです。他の金融機関からは、「借り換えでどうでしょうか?」と提案してくるかもしれませんが、融資審査は各々の金融機関で行っているため、会社にとっては、借り換えとしてのメリットはありません。
このパターンでは、上の注意点で話したような金融機関との関係が悪化する可能性が高いです。
保証付融資は、保証協会が融資額について原則80%保証する融資を言いますが、保証協会は会社ごとに保証枠の上限を設けています。そのため、金融機関が保証付融資を行う場合は、この保証枠の範囲内で融資を実行することになります。
このパターンのように、既存融資が保証付融資である場合に、他の金融機関で保証付融資の借り換えをするということは、もともと金融機関が掴んでいる会社の保証枠について、他の金融機関が奪い取りに来たようなものです。
それを会社が承諾するわけですから、金融機関にとってはいいものではありません。
このパターンの借り換えは、なるべく避けたほうがよいでしょう。
他の金融機関での借り換えで、プロパー融資だったものを保証付融資にするメリットは、全くありません。
提案されることは少ないですが、もし提案された場合には断りましょう。保証協会の保証枠をむやみやたらに使う必要はありません。
なお、同じ金融機関にて、プロパー融資のものを保証付融資に借り換えることは、原則禁止されています。これは、金融機関のリスクヘッジのために保証協会を使うようなものなので、認められていないからです。
同じ金融機関であれば、喜んで受けたいところですが、この提案は借り換えではなく、新規融資で提案されることが多いので、ほとんど無いと思われます。
他の金融機関からの提案であれば、検討する価値はあります。
既存の金融機関において、あまり融資に積極的でなかったり、今後も保証付融資止まりになりそうなのであれば、思い切って受けてみてもいいと思います。
プロパー融資を提案してきているということは、会社に対して積極的に融資をしたいと考えているからです。
また、他の金融機関からの提案なので、『他の金融機関でのプロパー融資同士の借り換え』と同様に、新規の融資審査と同じため、既存の保証付融資の返済をしなくてもよいと思います。
金融機関が提案してくるパターンを記載しましたが、結局のところ、借り換えでメリットがあるパターンは
・同じ金融機関でのプロパー融資同士の借り換え
・同じ金融機関での保証付融資同士の借り換え
・保証付融資をプロパー融資で借り換え
となります。
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