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ここでは、資金調達のなかでも重要な論点の一つである、借入しやすい会社と借入しにくい会社の違いについて、ご紹介いたします。
金融機関の融資審査では、申請者から受け取った決算書の数値を基に、もともと決められている審査基準に従って実行可否の判断をしています。
ですが、それ以外にも判断要素としている部分があります。
・金融機関が融資をするにあたって
・格付けとは
・金融機関から借入しやすい会社
・金融機関から借入しにくい会社
・絶対にしてはいけない会計処理3選
・最後に
・当事務所の取り組み
金融機関は、融資の申し込みにきた会社や個人に対して、融資審査を行う材料として過去3期分の決算書や事業計画書などの提出を求めます。
場合にはよっては、直近の試算表を求めることもあります。
金融機関はこれらの情報を参考にして、申請者を格付けすることにより、融資の実行可否を判断しています。
格付けとは、金融機関が会社の決算書などを通して、融資先としてどの程度信用していいものかどうかをランク付けしたものです。
格付けにあたっては、『定性評価』と『定量評価』の両方を考慮して点数制で決められています。
『定性評価』とは、その会社の歴史であったり業界の好不調の波であったり、単純に数値では表すことができない評価をいいます。これは、全体の評価のうちの約3割を占めるといわれています。
一方『定量評価』とは、決算書の金額を経営分析等で使用する財務指標を用いて、その会社の「安全性」や「収益性」「成長性」などを評価するものです。よく利益が出ると借入しやすいと言われるのは、この『定量評価』のことを指しています。
※当事務所では、決算報告のときに『定量評価』に基づいて融資の実行可能性を判断しているため、将来の資金計画のサポートをしています。
金融機関が審査をするときには、決算書の数値を基に格付けをしますが、格付け以外にも審査基準としているところがあります。
金融機関が貸したくなる会社とは、お金に困っている会社ではなく、きちんと返済してくれる会社です。
貸付けの本来の趣旨とは異なってしまいますが、金融機関としても貸倒先を出してしまうと国の機関から色々と言われてしまうため、しょうがないのかなと思います。
では、きちんと返済が出来る会社とはどのような会社なのかというと、会社の現金が増えるような利益を出している会社です。
利益に連動して現金が増えていく会社は、資金が枯渇して返済が出来なくなるようなリスクは非常に少ないと見られ、実際にそのような会社は倒産する可能性が極めて低いです。そして、そのような会社の決算書は、損益計算書だけでなく貸借対照表もバランスがとれています。この部分が、金融機関が格付けだけに頼らずに審査しているポイントの1つ目です。
金融機関は、そのほかにも会社の規模と利益のバランスを見ています。
どういうことかというと、その算出された利益が会社の規模にあっているのかどうかを見てきていて、例えばその利益が例年に比べて大きいもので、果たしてそれが一過性のものなのか、今後継続していくのかどうかを見極めています。
金融機関は、今後何年にもわたって返済し続けてもらうことを望んでいるため、大きな利益を単発で出す会社よりも、継続的に利益が出ていて、なおかつ徐々に利益が増加していく会社のほうが好みです。この部分が、金融機関が格付けだけに頼らずに審査しているポイントの2つ目です。
金融機関はこのように、色々な角度から会社の決算書を見てきています。
利益の出し方などは会社で調整できるものではありませんが、審査しているポイントさえがわかれば、いま会社が融資の申請をした場合に実行されやすい決算書なのかどうか事前に把握することができます。
一方、金融機関から借入しにくい会社とは、2期連続で赤字決算をしてたり、実質的に債務超過に陥っている会社です。
これら二つとも資金繰りに困っている会社ですが、金融機関としては融資をしても貸し倒れになる危険性があるため、貸し渋りの対象となります。当然、格付けのランクも低いです。
実質的に債務超過に陥っているとは、決算書上では債務超過でないとしても、資産の部に計上されている資産を実際の換金価値に換算してみると負債の金額の方が多い場合を言います。
繰延資産や時価が下落している有価証券などが多い場合や、年数の経っている有形固定資産が減価償却をしないでそのまま残り続けている場合が該当します。
そのほかでは、先ほどの借入しやすい会社の反対で、利益はでているけども現金が増えていかない会社です。
このような会社は格付けのランクは低くないですが、融資審査のうえではイメージは良くありません。
なぜかと言うと、この場合にまず考えられるのは、回収が滞っていて資金繰りが上手くいっていないか、利益調整(粉飾)をしているかです。
利益が出るということは売上も発生しているため、普通に考えれば回収もできるわけですが、そのまま回収できていない(売掛金や未収入金として残り続けている)ということは、取引先から入金がないか、そもそも取引先と取引をしていなかったかです。
こういったケースでは金融機関も目を光らせてくるので、利益調整をしていないのであれば、融資の申請にあたってきちんと説明するようにしましょう。
金融機関が粉飾をしていると疑っている処理のうち、特に目を光らせている事例を三つほどご紹介いたします。
いずれも粉飾の手口としては有名な手法で、貸借対照表のバランスを崩してしまう方法ですので、絶対にやめましょう。
期末在庫を本来の数量よりも多くに計上することにより売上原価が減少するため、利益が本来よりも多く計上することができます。
ですが、損益計算書上では利益は出ていても、売上高総利益率が例年に比べて高くなっているため異常値として見られてしまいます。貸借対照表上でも、棚卸資産が例年に比べて多く計上されているため、これも異常値として見られてしまします。
本来は翌期の売上であるにも関わらず、利益が少ない当期に計上することにより、当期の損益計算書を良く見せようとする方法です。
損益計算書では利益はそこまで出ていないのに、貸借対照表では売掛金が例年よりも多く計上されています。(本来は翌期に発生する売上のため、まだ回収できていない)
このような場合には金融機関からその内容説明が求められることが多く、目を付けられてしまいます。
また、翌期においても本来の売上の一部が削れているため、よほどがんばらないと例年と同じような水準に戻れません。
減価償却費は税務上は上限が決まっているだけで、その限度範囲内であればいくらでも(0円でも)計上することは構いませんが、会社法では毎年計上する額が決められています。
貸借対照表に固定資産があるのに、損益計算書の減価償却費がない又は少ない金額しか計上していないと、その決算書は本来のあるべき姿でないと金融機関は見てきます。
そのため、金融機関としては正しい減価償却費を計算して、その正しい金額を考慮して決算書を見てきますので、結果的には減価償却をしてもしなくても同じ評価になってしまいます。
※税務上の処理を優先して、わざと0円計上するときもあります。これは、減価償却費で計上したものは繰越欠損金として最長で10年間しか使用できませんが、利益が出たタイミングで減価償却費を計上する方法をとれば期間の制限を受けないためです。(ただし、毎年の限度額があります)
このように、金融機関は貸借対照表と損益計算書の両方を見てきますので、変な小細工はしないほうがいいのです。
金融機関が融資をするときには、お金に困っている会社ではなく、返済が確実に出来る会社を優先してしまう傾向にあります。
これは本来の”融資をする”という意味から外れてしまいますが、貸す側が決めてしまっているのでどうしようも出来ません。
ですが、利益が出ていなくとも、それは『定量評価』の部分だけであって、『定性評価』の部分はまだ残っています。
実際、お客様のなかには2期連続の赤字になってしまっても、これまでの返済実績や会社の姿勢などが評価されて借入が出来ているところも一定数あります。
前のページでご紹介しましたが、信用金庫や政府系金融機関は融資本来の意味を尊重しており、『定性評価』を重視する傾向がありますので、会社の経営が苦しくなってきた時に助けてもらうためにも、常日頃からこれらの金融機関とはお付き合いしておきましょう。
当事務所では、税務相談や税務申告のほかに、資金繰りや資金調達、経営分析に力を入れております。
金融機関は、決算書や試算表から、会社の実績を見て融資を実行するか否か判断しますが、そのアピールの仕方にはコツがあります。コツといっても粉飾をするわけではなく、見せ方によって金融機関の印象が変わるのです。
積極的に金融機関から借入したい、または行う予定のある経営者の方は、一度ご相談ください。
また、創業融資にも力を入れているため、創業をお考えの方も、お気軽にご相談ください。