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株式等を売却すると、仲介業者への手数料のほかに、譲渡所得という税金が課せられます。
株式等は配当所得のときと同じく、その種類により適用できる特例も異なってきます。
ここでは、株式等に係る譲渡所得の税務について解説していきます。
・株式等の譲渡等とは
・計算方法
・課税方法
・損益通算
・損失の繰越控除
株式等の譲渡等とは、所有している株式や新株予約権、合名会社等の出資持分、投資信託の受益権、公社債などの売却や交換のことをいいます。
株式等の譲渡等には、その株式等の種類に応じて、2種類に区分されています。
上場株式等の譲渡等とは、次の掲げる株式等で金融商品取引業者等を介した売却や、合併・資本の払い戻しなどをいいます。
・金融商品取引所に上場されている株式等
・外国の金融商品市場で売買されている株式等
・公募証券投資信託(特定株式投資信託以外)の受益権
・特定投資法人の投資口
・特定受益証券発行信託(公募に限る)の受益権
・特定目的信託(公募に限る)の社債的受益権
・国債や地方債
・金融商品取引所における一定の公社債
・国外にて発行された一定の公社債
…などがありますが、まずは『上場されている株式』と『投資信託』が対象になると考えておけばいいと思います。
一般株式等の譲渡等とは、上場株式等以外の株式等の売却や合併・資本の払い戻しなどをいいます。
株式等の譲渡等は、『上場株式等の譲渡等』と『一般株式等の譲渡等』に区分してから、次の算式により計算されます。
なお、どちらかの区分で損失が出た場合には、以前は相殺することが出来ましたが、現在は相殺してはいけないことになっています。
総収入金額とは、株式等を譲渡したときの売却価額等のことを指します。
『年間取引報告書』だと”譲渡対価の額(収入金額)”に1年間の売却価額の合計額が記載されていて、『取引報告書』だと”約定金額”などに銘柄ごとの売却価額が記載されています。
取得費とは、譲渡等する株式等を取得したときの価額のことをいいます。
『年間取引報告書』だと”取得費及び譲渡に要した費用の額等”に1年間の取得費の額が含まれていてますが、『取引報告書』では、取得費が記載されている箇所がありません。そのため、自分で把握しておく必要があります。
購入した場合にはその購入価額ですが、相続により取得した場合には被相続人(亡くなった方)が取得した価額となり、新株予約権の場合には権利行使の価格などであったりと、取得するパターンによって、その算定の仕方が異なってきます。
相続により取得した場合や、昔購入したけど購入金額を忘れてしまった場合など、取得費がわからないこともあると思います。そのときは、特例として、銘柄ごとにその売却価額の5%を取得費とすることもできます。
また、同一の銘柄を複数回購入等をしているときには、総平均法に基づく評価方法により評価します。(総平均法の評価の仕方は『暗号資産(仮想通貨の場合)の取り扱い② 譲渡原価の計算方法』の総平均法と同じです。)
委託手数料等は、主に金融商品取引業者等に対する仲介手数料が該当します。
『年間取引報告書』だと”取得費及び譲渡に要した費用の額等”に1年間の委託手数等の額が含まれていて、『取引報告書』だと”手数料”や”消費税”などの金額になります。
そのほかとしては、売買に関して相談等をしていた先に対する相談料や成功報酬など、借入により株式等を取得している場合にはその利息なども対象になります。これらは『年間取引報告書』や『取引報告書』には記載されませんので、別途、保管ないし請求する必要があります。
課税方法は、『上場株式等の譲渡等』も『一般株式等の譲渡等』も、どちらも申告分離課税により税額が計算されます。
税率は、どちらも20.315%(所得税15.315%・住民税5%)で、特に有利不利はありません。
株式等の譲渡のうち、上場株式等を金融商品取引業者等を介して譲渡したことにより生じた損失については、上場株式等の配当等である利子所得と申告分離課税を選択した配当所得と相殺(損益通算)することができます。
損益通算することができる譲渡損失は『上場株式等』に係る損失に限られており、一般株式等については、この特例はありません。
上場株式等の譲渡損失を損益通算しても、まだ損失がある場合には、その損失を翌年以後3年間にわたって、上場株式等の譲渡所得や配当所得等と相殺することができます。
相殺する順番は決まっていて、『上場株式等の譲渡所得』→『上場株式等の配当所得』の順で、繰り越した譲渡損失を相殺していきます。
株式等を譲渡した場合の税務関係について解説しました。
株式等では、その選択の仕方によって納税者にとって有利になることもあれば不利になることもあります。
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