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これまでは、暗号資産の一般的な計算方法について、解説してきました。
ここからは、暗号資産の取引について、より具体的な所得計算を取引別に解説していきます。
①暗号資産(仮想通貨)を取引所で購入した場合
②暗号資産(仮想通貨)をマイニング等により取得した場合
③暗号資産(仮想通貨)を分裂(分岐)により取得した場合
④贈与や遺贈により暗号資産(仮想通貨)を取得した場合
⑤相続により暗号資産(仮想通貨)を取得した場合
⑥暗号資産(仮想通貨)を売却した場合
⑦暗号資産(仮想通貨)を時価より安く売却した場合
⑧暗号資産(仮想通貨)を贈与した場合
⑨暗号資産(仮想通貨)を交換した場合
⑩暗号資産(仮想通貨)で決済した場合
⑪給料を暗号資産(仮想通貨)で支払う場合
⑫暗号資産(仮想通貨)の取引を特にせずに、年末まで保有していた場合
・最後に
暗号資産を購入した場合には、その購入に要した支出額が取得価額となります。また、取引所に対して手数料を支払う場合には、その手数料も取得価額に含めます。
この場合、特に所得は生じないため、確定申告は必要ありません。
<例>
〇〇取引所で、1.5ビットコインを1,500,000円で購入した。(手数料550円)
取得価額:1,500,000円+550円=1,500,550円
所得は生じない
暗号資産をマイニング等により取得した場合には、取得時の時価相当額の価値を享受しているため、その時点の時価が『総収入金額』に算入します。
また、マイニング等にあたって要したパソコンの購入代や人件費・水道光熱費などは、『必要経費』に算入します。
計算の結果、利益(所得)が生じるのであれば雑所得として総合課税により税額が計算されますが、損失が生じた場合において、他の雑所得(先物取引を除く)がないときには、特に確定申告は必要ありません。
<例>
マイニング等により、6ビットコイン(7,000,000円)を取得した。マイニング等により要した費用は総額5,000,000円だった。
総収入金額:7,000,000円
必要経費:5,000,000円(諸経費)
雑所得:7,000,000円-5,000,000円=2,000,000円
※マイニング等により取得した暗号資産を後日売却するときの譲渡原価は、7,000,000円になります。
分裂(分岐)により新しい暗号資産を取得した場合には、所得は生じないため、確定申告の必要はありません。
新しい暗号資産は分裂(分岐)時点おいて取引相場がまだ存在していないことから、価値を有していないと考えられます。そのため、新しい暗号資産の時価が0円となるため、所得関係は生じないこととなります。
なお、新しい暗号資産を売却するときは、その譲渡原価の価額は0円になります。
暗号資産を贈与又は遺贈により取得した場合には、贈与又は遺贈時の暗号資産の時価が、取得価額となります。
所得税は生じませんが、贈与税又は相続税が生じます。
<例>
5/5 1ビットコインを友人からもらった
(1ビットコインの時価:2,500,000円)
取得価額:2,500,000円
※課税価格2,500,000円の贈与税がかかります。
暗号資産を相続により取得した場合は、被相続人が保有していた暗号資産に係る評価額により算定した金額が、取得価額となります。
所得税は生じませんが、相続税が生じます。
暗号資産を売却した場合には、その売却価額が総収入金額に算入します。
なお、収入の計上時期は暗号資産を引き渡したときですが、売却に係る契約を締結したときも認められています。
<例>
1/7 3ビットコインを4,500,000円で購入
4/4 1ビットコインを1,800,000円で売却
総収入金額:1,800,000円
必要経費:4,500,000円÷3ビットコイン=1,500,000円(譲渡原価)
雑所得:1,800,000円-1,500,000円=300,000円
暗号資産を時価よりも安く売却した場合には、その売却価額によって取扱いが異なります。
売却価額が時価の70%未満である場合には、時価の70%で売却したものとして所得計算します。
また、時価の70%以上である場合には、その売却価額で売却したとして所得計算します。
<例>
4/1 1ビットコインを2,000,000円で購入
9/8 1ビットコインを2,000,000円で売却
(9/8のビットコインの時価:3,000,000円)
総収入金額:3,000,000円×70%=2,100,000円(>2,000,000円)
必要経費:2,000,000円(譲渡原価)
雑所得:2,100,000円-2,000,000円=100,000円
暗号資産を贈与した場合には、その贈与時の暗号資産の時価が総収入金額となります。
暗号資産の贈与では、贈与を受けた者(受贈者)には贈与税がかかり、贈与した者にも所得税がかかってしまいます。
<例>
4/1 1ビットコインを2,000,000円で購入
7/7 1ビットコインを贈与
(贈与時のビットコインの時価:2,500,000円)
総収入金額:2,500,000円
必要経費:2,000,000円(譲渡原価)
雑所得:2,500,000円-2,000,000円=500,000円
※贈与を受けた側が売却しようとするときの譲渡原価は、2,500,000円となります。
所有している暗号資産(Aとします)と他の暗号資産(Bとします)を交換した場合には、暗号資産Bの交換時の時価が総収入金額となり、暗号資産Aの取得価額が譲渡原価となります。
これは、暗号資産Aの売却によって得た資金をもって暗号資産Bを購入した、と考えているためです。
<例>
14イーサリアムと1ビットコインを交換した。
(交換時のレートは、300,000円/ETH、4,200,000円/BTC)
ビットコインは1,000,000円で購入している。
総収入金額:300,000円×14ETH=4,200,000円
必要経費:1,000,000円(譲渡原価)
雑所得:4,200,000円-1,000,000円=3,200,000円
商品を購入するときに、現金の代わりに暗号資産で支払をしたときには、その商品の購入時の時価が総収入金額に算入します。
これは、暗号資産を売却して得た資金をもって商品を購入した、と考えているためです。
<例>
大型テレビ500,000円を、0.5ビットコインで購入した。
(購入時のビットコイン時価:1,000,000円/BTC)
なお、ビットコインは以前300,000円/BTCで購入している。
総収入金額:500,000円
必要経費:300,000円×0.5BTC=150,000円(譲渡原価)
雑所得:500,000円-150,000円=350,000円
従業員に対する給料を暗号資産で払う場合には、現物支給の給与となるため、源泉徴収をする必要がでてきます。
源泉徴収分は、原則支払った月の翌月10日までに納税する必要があるため、その源泉徴収相当額以上の金額は現金支給としておいたほうがいいでしょう。
個人の場合には暗号資産を時価評価しないため、 保有しているだけでは所得は生じません。
そのため、確定申告の必要はありません。
※個人と法人で取扱いが異なり、法人で保有している場合には時価評価します。
暗号資産(仮想通貨)について、取引別に具体的な所得計算を交えて解説してきました。
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