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貸借対照表は、決算日におけるその会社の体力(財政状態)を表します。
左側(借方)に資産、右側(貸方)に負債と純資産が表示されています。
また、資産の金額と負債・純資産の合計額は必ず一致することから、「バランスシート」と呼ばれています。これは、他から調達した資本(負債)と自分で用意した資本(純資産)をもって、事業をするうえで必要な資本(資産)を購入・運用しているため一致しています。
資産は、流動資産・固定資産に大別されて、固定資産は有形固定資産・無形固定資産・投資その他の資産に分類されます。
負債は流動負債・固定負債に分類され、他人資本と呼ばれています。
純資産は、株主資本・評価換算差額等・新株予約権に分類され、株主資本と評価換算差額等を合わせて自己資本と呼ばれます。
流動資産には、主たる営業を行う上で生じる現金預金・売上債権・棚卸資産と、売買目的の有価証券や事前に支払った費用である前払費用などが表示されています。
売上債権は、受取手形や売掛金のことをいい、いわゆる「ツケ」です。
営業上の取引は、売買契約書など一定の契約を締結したうえで、信用取引として「ツケ」で取引されています。この「ツケ」の期間は、取引先ごとに契約書に定められており、売掛金は大体1ヶ月~2ヶ月、受取手形の約束手形などは2ヶ月~4ヶ月のものが多いです。
(2024年をめどに、一部の業者については、60日以内とする政府の意向があります)
そのため、販売したとしても代金回収までには期間があり(入金サイトといいます)、この期間が長いと資金繰りに影響してきます。
売上債権が大きいということは、その分未回収の現金預金が多額にあるということであり、当然その間にも事業を回していかなければならないため、資金繰りが厳しくなっている可能性があります
大きな案件による売上があったからなのかもしれないし、不良債権が眠っているからなのかもしれません。どのみち、一度管理表を見直してみて、大きな金額を抜き出して調査する必要があります。
棚卸資産が大きくなっているときも、同じくらい注意してください。
棚卸資産が大きくなってきても、売上債権ほど注意している方は少ないように見受けれます。
棚卸資産が大きいということは、その分資金が滞留しているということです。
もし、その棚卸資産が不良在庫であったりすると、いつまでも現金預金に変わることなく運転資金が増えていっています。
もし不良在庫があるのなら、一度倉庫に行ってみてください。何千万もの札束が不良在庫という形に変わって眠っていると思うと、急いでお金に変えなければという気持ちに変わるはずです。
固定資産は、「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」に分類されます。
「有形固定資産」は建物や機械など、目に見えるもの(有形)が表示されています。有形固定資産や無形固定資産の一部に共通しているものは、減価償却費という概念があることです。
減価償却費は、その固定資産を使用していく過程でその価値の減少を数値化したものです。
例えば、100万円の機械(耐用年数5年、定額法)の場合には、毎年20万円がその機械を使用したことによって生じた価値の減少として費用に計上されます。
これは言い換えれば、機械を使用したことにより、後の売上となる新たな製品を生み出しているとも考えられ、利益の獲得に間接的に貢献しているともいえます。むしろ、価値の減少と捉えるよりも、利益獲得のための先行投資と捉えたほうが、経営者の方にはしっくりくると思います。
減価償却費は、税務上はその償却費限度額が決められているだけなので、償却するかしないかについて強制はありませんが、会計上は毎年償却していくことが求められています。
ということは、利益を出すためには、少なくともこの減価償却費以上でなければならないということです。
さきほど、機械の使用により間接的に利益獲得に貢献するといいましたが、この減価償却費の数値が、貢献すべき利益の最低金額と考えれば納得できると思います。
ただし、全ての会社が減価償却費を超えるような利益を獲得するとは限らないし、会社やその業種によって償却の方法や金額や規模が大きく異なるため、経営分析では業者間の壁をとるために、純粋な利益を算定することのできるEBITDAを使用することがあります。
また、この減価償却費は費用ですが支出の伴わない費用であるため、フリーキャッシュフローの算定に使われたりもします。
「無形固定資産」は、特許権などの権利や、プログラム群のソフトウェア、買収時の価値部分を示すのれんなどがあり、目に見えないもの(無形)が表示されています。
「投資その他の資産」は、投資目的の有価証券や賃貸時の敷金、期間が1年以上の長期貸付金などが表示されています。
ここに表示される資産には、利益に貢献しない資産(非事業用資産)が含まれることが多く、経営分析のときには区別する必要があります。
負債の部は他人資本と呼ばれ、いつかは返さなくてはならない資本が表示されています。
大きく3種類あり、1種類目は、主たる営業を行う上で生じる「営業債務」です。
支払手形や買掛金・未払金などがあり、売上債権と同じ「ツケ」に該当します。買掛金は大体1ヶ月~2ヶ月、支払手形などは2ヶ月~4ヶ月くらいです。
通常の取引の流れでは、商品を購入してから販売するため、必ず支払いが先行しますので、決済までの期間(支払サイトといいます)が入金サイトに比べて短いと、そのまま資金繰りに影響してきてしまいます。
経営分析では、売上債権のときのように、支払手形や買掛金が大きい場合にも注意が必要です。
考えれるケース2つあって、1つは「資金繰りが厳しく、支払いを待ってもらっている」。もう1つは「交渉によって支払いサイトを伸ばして、資金繰りに余裕をもたせている」です。
このあたりは、そのほかの状況を見て、総合的に判断していくことになります。
2種類目は、借入金や社債に代表される、「有利子負債」です。
「有利子負債」は、その返済義務を負う期間に応じて利息がつく負債で、他人資本というとこちらの方がしっくりとくるかもしれません。
返済金額は費用にはならないので(借入時に収益とならないのと同じです)、税引後の利益から捻出する必要があります。
そのため、資金繰りを考えるときには、返済金額と支払税金額の両者を考慮しながら必要な利益を計算します。
例えば、7,000万円(利息70万円)の借入を返済するためには、営業上の利益(営業利益)を、約1億518万円(実行税率を33%とした場合)以上捻出しなければなりません。
3種類目は、引当金などのまだ支払う必要はありませんが、将来支払うことになる負債です。
資産から負債を控除したものを「純資産」といいます。
よく耳にする自己資本とは、資本金や利益剰余金などの株主資本に、その他有価証券などの評価・換算差額等を加えた額をいいますが、評価換算差額等には、その他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益など中小企業ではほとんど見かけない項目ばかりのため、株主資本=自己資本と捉えていただいて構いません。
利益剰余金には、その会社の創設期以降全ての損益の累計が表示されており、マイナスの場合にはその会社は通算で赤字ということがわかります。
ただ、もしプラスであったとしても、その全てが現金預金として残っているのではなく、在庫に姿を変えているものもあれば、建物や機械などの有形固定資産に姿を変えているものもあります。
ということは、その在庫が不良在庫であったとしても、その有形固定資産が利益を生んでいない非事業用資産であったとしても、利益剰余金ではプラスとなり自己資本を構成しているので、ここでもその他の状況から判断していくことになってくるのです。