【節税】資本金の減額(減資)を
検討してみましょう

 節税をするにあたって、減資はあまり聞きなれないかもしれません。

 今回の対象となる法人は、資本金の額が1億円を超えている会社が対象となってきますが、一部1千万以上の会社が対象のものもありますので、ご参照ください。
 

 ・減資とは?
 ・交際費の損金算入が一部認められるようになる
 ・30万円未満の減価償却資産を一括費用計上できる
 ・欠損金の繰越が全額認められる
 ・法人税率が安くなる
 ・住民税の均等割の額が少なくなる
 ・事業税率が低くなる(外形標準課税の適用から外れる)
 ・減資によるデメリット
 ・当事務所の取り組み

 

◆減資とは?

 減資とは、株主総会等により資本金の額を減少させる手続きのことをいいます。

 この減資という手続きには、①有償減資と②無償減資の二つの方法があります。これらは、手段は異なりますが、いずれも資本金を減少させるという点では同様です。

 

①有償減資

 有償減資とは、株主から出資してもらった資金を、その時の価格(時価)で返すことをいいます。

 資金を返却するため、その分資金も減少しますし、時価がもともとの株価を超える部分については「みなし配当」として源泉徴収する必要があります。 

 この減資の方法の一番のポイントは、資金が減少すると同時に純資産も減少するため、会社の体力が減ってしまうところにあります。

 

②無償減資

 無償減資とは、有償減資と異なり資金の流出を伴わない減資のことをいいます。

 よくある手法としては、貸借対照表の純資産の部にある繰越利益剰余金が赤字の場合に、その補填として資本金を充てることにより、それまでの蓄積である繰越利益剰余金をプラスとして対外的な印象をよくすることができます。

 資本金を減少させても繰越利益剰余金は増加するため、純資産の金額としては変化はなく、会社の体力が減ることはありません。

 

◆交際費の損金算入が一部認められるようになる

 交際費として支出した金額は、その全額が損金の額に算入されずに課税されてしまいますが、資本金の額が1億円以下の場合には、その事業年度で800万円までの交際費は損金の額に算入されるため、課税されません。

①期末資本金の額が1億円以下

 その事業年度で800万円までの交際費は、損金の額に算入されますので課税されません。

 もし、交際費のうち飲食に係る部分が1,600万円を超える場合には、その飲食の金額の50%相当額を損金の額に算入することができます。

 

②期末資本金の額が1億円超100億円以下

 交際費のうち、飲食に係る部分の金額の50%相当額を損金の額に算入することができます。

 

◆30万円未満の減価償却資産を一括費用計上できる

 資本金が1億円以下で、大法人(資本金が5億円以上)による直接又は間接の完全支配関係がない場合には、1個が30万円未満の買い物やサービスについては、減価償却することなく一括で損金の額に算入することが認められています。

 詳しくは、【節税】30万円未満の購入・支出を積極的に活用しましょう』をご参照ください。

 

◆欠損金の繰越が全額認められる

 青色申告を提出している法人について、期末資本金の額が1億円以下(資本金の額が5億円以上の大法人に直接又は間接の完全支配関係がない法人)である場合には、その事業年度において赤字(欠損金)が生じた場合には、その欠損金について以後最大10年間の繰越が認められています。

 この法人に該当しない場合には、繰越可能な欠損金額は、その事業年度の所得の50/100までと上限が設けられています。

 

◆法人税率が低くなる

 法人税率は23.20%ですが、資本金が1億円以下で大法人(資本金が5億円以上)による直接又は間接の完全支配関係がない場合には、その事業年度の所得金額が800万円以下の部分にかぎり、法人税率が15%と低くなっています。

 

◆住民税の均等割の額が少なくなる

 法人住民税には『法人税割』と『均等割』の2種類があり、そのうち『均等割』は、その法人の「資本金等の額」と「従業員数」によって決められています。

 「資本金等の額」とは、事業年度末の資本金と資本準備金・資本剰余金の合計額とされていて、この金額により均等割の金額が左右されます。

 法人住民税は地方税のため、各自治体によって若干異なってきますが、往々にして資本金等の額が1,000万円以下で、従業員数が50人以下の場合が一番均等割が安くなります。

 例として、東京都23区の普通法人の場合を挙げておきます。(本来、均等割はその自治体によって定められていて、都道府県と市区町村にそれぞれ設けられていますが、23区だけは例外で、東京都のみで計算することとされています)

資本金等の額 50人以下の場合 50人超の場合
1千万円以下  70,000円  140,000円
1千万円超1億円以下  180,000円  200,000円
1億円超10億円以下  290,000円  530,000円
10億円超50億円以下  950,000円   2,290,000円
50億円超   1,210,000円   3,800,000円

 

◆事業税率が低くなる(外形標準課税の適用から外れる)

 期末時の資本金の額が1億円以下の法人は、外形標準課税の対象から外れます。

 外形標準課税とは、その年の所得とは別に課税される税金で、その課税方法は『資本金の額』であったり『給料や利子・賃借料の金額』によって税金が計算されます。

 そのため、赤字の年で資金体力が例年に比べてなかったとしても、期末の資本金が大きかったり、従業員に支払う給料が多いと外形標準課税として課せられる税金の額が増えてしまい、資金を圧迫してしまいます。

 その外形標準課税の判断基準は、『期末時』の『資本金が1億円以下かどうか』であり、期中の変動は判断基準とならないため、外形標準課税を避けるためには、期末時の資本金に気を付けましょう。

 

◆減資によるデメリット

 減資をすることによるデメリットは、何より『会社の信用力が下がる可能性がある』ことです。

 資本金の金額が少なくても、経営が安定している・伸びている会社はたくさん存在しますが、それでも資本金の金額が会社の信用度として今でも見られることが多いです。

 もちろん、それは金融機関でも例外ではありません。

 金融機関から融資を受けるときには、現在の損益の状況・今後の伸びしろ・返済能力のほかに、会社の純粋な体力を見てきます。純粋な体力は、貸借対照表の純資産の部から見ることができ、とくに繰越利益剰余金と資本金を見てきますので、欠損填補をした場合には、その経緯などについて説明する必要があります。

 

◆当事務所の取り組み

 当事務所では、申告書を作成するだけでなく、事前に納税額を予測して対策を立てています。

 節税をするときには、ただ支出をして納税額を減らすだけの無駄な節税を極力避け、お客様と相談しながら、後々有益となる節税をご提案いたします。

 また、税務申告のほかに、経営分析や資金繰りにも力を入れております。

 資金計画をこれから実施していこうという方、再度検討したい方など、資金体力のある会社づくりを目指したい方、お気軽にご連絡ください。

 

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