面談を受けるときの注意点

 創業融資の面談は、日本政策金融公庫も信用保証協会も、約1時間ほどです。

 面談をするときの担当者は、審査をする担当者とは別の人が対応します。

 面談担当者は、自分が通した創業者の融資が可決されれば自分の成績が上がり、審査担当者は融資をするうえで不渡りを出すわけにはいかないので厳密に審査しますが、極力融資を実行したいと思っています。

 特に日本政策金融公庫は、創業融資の申請条件が近年でだいぶ緩和されてきています。これは背景に、政府が国内での起業を促進する策を打ち出していることが後押ししているためでしょう。

 国からの追い風もあり、面談担当者は融資の審査が通りやすい資料や情報を審査担当者に持っていきたいのが本音です。

 資料は、創業計画書をメインとした添付資料がそれに該当します。情報は、資料の補足説明として面談担当者が知りたいことです。

 創業計画書の内容に沿って、面談担当者が審査担当者に伝えやすいように説明しましょう。

 このページでは、面談を受けるときに、最低限注意すべきことや聞かれることをご紹介いたします。



 ・ラフな格好で面談に行かない
 ・高級なものを身に着けて行かない
 ・専門用語はなるべく使わない
 ・希望融資額の根拠を説明できるようにする
 ・聞かれたことについて適用に答えない
 ・開業のきっかけについて
 ・これまでの事業経験について
 ・自己資金の内容の確認
 ・個人事業主の場合は生活費について聞かれることがある
 ・売上の推移について
 ・リスクについて
 ・面談は経営者の方だけ


 

 「当たり前だろ」と思われる内容もありますが、一生に一度のことですので、再度ご確認をお願いします。

◆ラフな格好で面談に行かない

 カジュアルフォーマルならまだ良いのですが、普段着のようなラフな格好で行く人がたまにいます。

 金融機関は、身だしなみがしっかりしていない人は、お金にもしっかりしていないと見てきますので、男女ともにスーツで行くのが一番無難です。
(男性の方は、夏場はクールビスが普及していますが、ネクタイは極力していくようにしましょう)

◆高級なものを身に着けて行かない

 これからお金を借りようとする人が、高級な時計やスーツを着ていたり、高級外車で乗り付けるようであれば、金融機関でなくともあまりいい印象を持ちません。

 計画なくお金を使ってしまう人だと見られてしまいます。

 普段はそのような格好をしていたとしても、面談当日だけは標準的なものを身につけるようにしましょう。

◆専門用語はなるべく使わない

 その業界に長いこといると、どの単語が専門用語なのかわからなくなりがちで、ついつい使ってしまいます。

 金融機関の担当者は、その業界の人ではなく、ましてや初対面の人ですので専門用語はなるべく使わずに、出来るだけ簡単な言い回しを使うようにしましょう。

 うまく伝わらないと、審査担当者などに報告するときに、その部分を省略される可能性があります。

◆希望融資額の根拠を説明できるようにする

 金融機関の担当者から融資希望額の根拠を聞かれたときに、「大体〇〇円くらい借りたいから」とか「このくらいあればなんとかなるから」とか「多ければ多いほうがいいと思ったので」など、あいまいな返事だと、貸したくても貸しづらくなってしまいます。

 融資を希望する本来のスタンスは、事業計画を練っている段階でご自身のお金が足りないことがわかり、その補填をするための金額が融資希望額となるはずです。

 根拠の説明ができないと、もしかしたら何も計画をたてずに面談に来ているのではないか...と思ってしまっても無理はありません。

 面談では、創業計画書に沿った内容で、融資希望額の根拠を伝えましょう。

◆聞かれたことについて適当に答えない

 面談のなかで、想定していない質問が来ることがあります。

 そのようなときに、適当に答えてしまったり、計画に矛盾があってつじつまを合わせるために嘘をついたりすると、後々バレてしまったときには、金融機関の信用を失い、今回の融資だけでなくその後の取引にも影響してしまいます。

 わからないときは即答せずに、「帰ってから調べてお答えします」と言いましょう。

 金融機関の担当者だって、即答できないからダメ...なんてことはしません。

 むしろ、「わからない」と正直に答えることにより、誠実に対応する経営者だと判断されて印象が良くなることさえあります。案外、「また今度聞かせてください...」でそのまま終わったりするかもしれません。

 回答があいまいになりそうなときは、持ち帰って回答するようにしましょう。

◆開業のきっかけについて

 この項目は面談のなかでも最重要項目です。

 創業計画書にも書いていますが、面談でも改めて伝えるようにしましょう。一字一句暗記して臨む必要はなく、ご自身の言葉で内容がブレることがなければ大丈夫です。

 一番大切なことは、ご自身の熱意と目的を伝えることです。

 もし別紙を使用したり長い文章を計画書に記入しているときには、面談担当者が上司に後日伝えやすいように、一度内容をまとめてみてください。

 ※創業計画書を書いた後に、面談までの間で書き漏れている部分があったときは、この面談のときに伝えるようにしましょう。

◆これまでの事業経験について

 開業のきっかけを聞かれたときに、すでに話しているかもしれませんが、聞かれたら改めて答えるようにしましょう。

 創業計画書や別紙に記入した内容に即して答えていけば問題ありません。

 担当者がその業種に興味があったりすると細かく聞いてくることもありますが、そういうときは積極的に話してください。

 ただし、注意事項が一点あります。

 なるべく語りすぎないでください。

 担当者からの質問は、アピール出来るとてもいい機会なのですが、余計なことまでしゃべってしまい、矛盾が生じるようなことがあると減点の対象になります。

 しゃべる内容は、ここまで...とラインを決めておきましょう。

◆自己資金の内容の確認

 自己資金の確認のために通帳を提示しますが、そのなかで不明点があると聞かれたりします。

 面談の前に、一度通帳の過去1年分を見てみて、ご自身でわからないことがないか確認してみてください。もしわからないことがあれば、回答できるようにしておきましょう。
(例: 金額の大きい入出金、定期的な入出金など)

◆個人事業主の場合は生活費について聞かれることがある

 個人事業主の方で、創業計画書の「8.事業の見通し(月平均)」にて利益をかなりギリギリに設定したときなどに、「生活費はどうされますか?」といった質問がくることがあります。

 ご結婚されている方やご実家にお住まいの方ならば「当面の間は養ってもらう」など回答できますが、一人暮らしの方の場合は、別途生活費工面の方法を考えておかなければならなくなってしまいます。

 そのため、「創業計画書(数字編)」でも紹介したとおり、利益は「返済額+生活費」となるようにしましょう。

◆売上の推移について

 その事業を行うにあたって、売上高の金額やその推移の根拠を聞かれます。

 売上高の計画が崩れてしまうと、返済が遅延してしまう可能性が高くなるため、金融機関は返済の原資となる売上高について、非常に敏感になっています。

 「創業融資の審査ポイントは大きく3つだけ」紹介していますが、その売上となる構造を分解して、計算するようにしましょう。

 

 根拠:創業計画書や資金繰り表に記入したもののとおりに答えれば大丈夫です。

 推移:その業種特有の事項があれば、そのことも交えて説明しましょう(担当者はその分野の素人であるため、審査にあげる際に説明できるように聞いています)

◆リスクについて

 面談で、ご自身が行う事業について、どのようなリスクがあって、そのリスクにどのように対応するのか聞かれることがあります。

 日本政策金融公庫でも信用保証協会でも、どちらの創業計画書にも記入欄がないため、対策を別途考えておく必要があります。

 これは、創業計画書の「3.取扱商品・サービス」の「販売ターゲット・販売戦略」「競合・市場など企業を取り巻く状況」を記入するときに、併せて準備しておくと効率よく作業を進められると思います。

 ※コツとしては、実際上手く事業が立ち行かなかった場合を想定して、資金繰り表を作ってみてください。そうすると、どの部分に対策を練ればよいかわかってきます。

◆面談は経営者の方だけ

 創業計画書は、その会社の未来予想図そのものであり、その計画を練れるのは経営者だけです。

 金融機関は『どのような背景をもって、この計画を練っているのか』を経営者から直接聞きたいのに、専門家が同行して口を出してきては印象が良くありません。

 ましてや、創業計画書の内容を専門家が一人で話していては、『この計画書は経営者が作っていないのではないか?』『作っていないから、専門家が説明しているのではないか?』と疑われてしまいます。

 そうすると、経営者の事業に対する姿勢が金融機関に伝わらず、いい印象をもたれることなく終わってしまうのです。
 

 そのため、弊所では、面談はご自身一人で訪問して頂いております。

 また、専門家の方の同行はお控えくださいと言ってくる金融機関も増えてきています。

 個人情報保護の観点からということでしょうが、本音はもしかしたら、専門家が同行してきて説明も専門家がしてきた、という過去が一定数あるからかもしれません。

 ご自身で説明できるようになるということは、創業計画書の内容が整理できている証拠です。整理できていると、自然と経営の数字を追うことができるようになっています。

 経営に数字はつきもので、今後経営を続けていく中でこの経験は必ず役に立ちます。

 面談のときには、ぜひご自身の言葉で融資担当者とお話しください。

 

◆当事務所の取り組み

 創業融資の申請は、大きく『創業計画書の作成』と『面談』の二つに分けることができますが、なかでも『面談』では、その事業の内容のほかに経営者の人柄や応対の仕方を見てきます。

 当事務所にご依頼いただいた場合には、融資を勝ち取るための創業計画書を作成し、融資面談の際のノウハウもご提供させていただきます。

 また、金融機関の申請にあたっては、当事務所から直接ご連絡いたしますので、税理士が監修していることをアピールすることもできます。

 創業時は思った以上にやることが多く、融資実行まで身動きがとれないような状態では多くの機会損失を生み出しかねません。

 創業融資をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。

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