損益計算書とは

 損益計算書とは、1年間におけるその会社の経営成績を表示しています。

 損益計算書は、1年間で獲得した収益から、その収益を得るために生じた費用を差し引いた金額を表示しており、「売上総利益」「営業損益」「経常損益」「税引前当期純利益」「税引後当期純利益」と性質が異なる利益ごとに区分して表示しています。

 金融機関で融資を受けるためには、創業融資以外では直近の決算書を持参して、その決算書の数値をもとに審査を行います。

 金融機関では「営業損益」や「経常損益」で一定の利益が出ており、債務超過でなければ審査が通る可能性は上がります。
 利益が出ていることで、第三者に向けてその会社が安全であるという証明ができるのです。

 一方で、黒字倒産という言葉があります。

 黒字倒産とは、損益計算書上は利益が出ている(黒字)にもかかわらず、なぜかキャッシュが足りずに、倒産してしまうことです。

 一体、これはなぜでしょうか。

 これは、利益というものは、収益から費用を差し引いた差額でしかないためです。

 会計の考え方で、費用収益対応の原則というのがあります。

 この原則は、その収益が生じたときには、それに対応する費用の計上は同期間内に行いましょう...という法則で、期間対応の考え方が用いられています。

 期間が対応していて収益から費用を引けば、その利益がそのまま儲けになりそうですが、「貸借対照表とは」のページでも書いたように、営業取引を行う上では「ツケ」の取引がメインです。

 そのため、キャッシュが動くのは利益が計上されて一定期間が経ってからになってしまいます。

 損益計算書で利益が出たとしても、入出金のサイトの関係上すぐにキャッシュが手に入るわけではなく、一定期間後でないと実際の儲けが手に入らないのです。

 とはいえ、利益は会社の業績を図るうえではとても重要な要素の1つです。

 客観的に自社を把握するうえで必要な財務指標もありますので、損益計算書を理解することはとても大切です。

◆売上総利益について

 売上総利益とは、その会社の主たる営業活動の売上高から、その売上に直接対応する原価である売上原価を控除した金額を言います。粗利益とも言います。

 粗利益は、売上高と売上原価の差額なので、販売する商品や製品などについて、その会社が付与した付加価値の総額を表しています。

 この粗利益が多ければ多いほど、会社の利益は安定してきますが、この粗利益には1つ注意点があります。

 それは、損益計算書にある粗利益の金額は、その会社の商品の粗利益の総額であるという点です。

 どの商品が売れ筋なのか、どの商品が不良在庫化してきているのかが損益計算書からだけでは、よくわかりません。

 全体の粗利益率がよくても、どの商品がその粗利益率を押し上げているのか判別がつきませんので、分析するときは在庫管理表と売上表を突き合わせてみて、伸ばしていく商品と、削る商品を選んでいく必要があります。

◆営業損益について

 営業損益とは、売上総利益から、その売上を得るためのマーケティング費用や販売手数料などの販売費と、会社を運営していく中で生じる人件費や会議費といった一般管理費(この二つの費用をまとめて、販売費及び一般管理費といいます)を控除した金額を言い、主たる営業活動により生じた利益を表しています。

 どんなに売上総利益が高くても(会社が大きな付加価値を出していたとしても)、この販売費及び一般管理費が大きいと、営業損益が少なくなってしまいます。

 例えば、あるメガネチェーン店では、素材自体にはそれほど費用がかからないため売上総利益は高いのですが、店舗販売がメインなので、家賃と人件費がとても大きく、結果的に営業損益は売上の数パーセントとなってしまうこともあります。

 このように、売上総利益だけではその会社の業績を判断するのは難しく、営業損益が判断するのには一番最適だと言われています。

◆経常損益について

 経常損益とは、営業損益から、販売費及び一般管理費にも特別損益にも該当しない利益と費用を考慮した金額を言います。具体的には、預金利息などの受取利息であったり、為替取引の結果生じた為替差損益などを計上します。

 有利子負債が多額にある会社の場合には、財務レバレッジが高く、営業外費用である支払利息が多く計上される傾向にあります。

◆税引前当期純利益について

 税引前当期純利益とは、経常損益から、特別利益と特別損失の差額を加えたものを言います。

 特別利益とは固定資産売却益であったり、特別費用は投資有価証券売却損であったりと、通常の業務上では出ないような、特別なケースを考慮した利益を表示しています。

 金融機関の融資では、税引前当期純利益よりも経常損益や営業損益が重視されますが、とくに経常損益がプラスで税引前当期純利益がマイナスである場合では、その特別損益の説明が求められます。

◆税引後当期純利益について

 税引後当期純利益とは、税引前当期純利益から、当期の税金である法人税・住民税及び事業税や、税効果会計を採用している場合には会計と税務の考え方の差である法人税等調整額が、控除されたものを言います。

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

03-6260-8415

くろべ税理士事務所

住所

〒131-0046 東京都墨田区京島1-8-8 09号室

アクセス

曳舟駅より徒歩2分

受付時間

09:30~17:00

定休日

土曜・日曜・祝日