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損益分岐点分析②

 このページでは、経営分析の手法である損益分岐点分析の計算の核となる「変動費」と「固定費」について、ご紹介いたします。

 変動費と固定費は損益計算書から参照しますが、直接表示されている金額ではないため、その会社の特徴(ビジネスプロセス)により区分けする必要があります。

 そのビジネスプロセスにより生じた様々な費用を、その性質ごとに把握したうえで変動費と固定費に分類しなければならないため、最初は大変かもしれません。

 ですが、作業を進めていくと、ビジネスプロセスのどの部分を調整すると、その結果どのくらいの利益を得ることができるのかが、肌感覚でわかるようになっていきます。

 いま一度、腰を据えてみて、じっくりと損益計算書を観察してみてください。

◆変動費について

 損益分岐点を算出するためには、必ず「変動費」と「固定費」に分ける必要があると言いましたが、まずは「変動費」について説明いたします。

 「変動費」とは、売上高の増減に比例して変動する費用ですが、ぱっと頭に浮かんでくるのは「売上原価」ではないかと思います。 
 では、具体的にどのような費用が変動費となるのでしょうか。

 

 ①商品販売の場合には、商品の仕入価格がそれにあたります。

 ②商品でなくサービスの提供による収入が売上高となる場合において、その作業を外部に委託しているときには、外部委託費が変動費になります。

 ③ソフトウェア開発など人件費がメインとなる会社は、エンジニアに支払う人件費がその会社の売上高に貢献しているので、この場合には人件費が変動費になります。

 

 変動費は業種であったり会社の利益構造によっても様々であるため、どれが変動費になるかは取引の内容を把握していないとわかりません。ただ、どの業種であっても利益構造であっても、共通していることがあります。

 それは、変動費は、売上高に直接的に比例している(変動している)費用であるということです。

 この”直接的”というところがポイントです。
 直接的という部分に着目して、
先ほどご紹介した変動費の具体例①②③を見てみると...
 

 ①商品の仕入価格は、販売があったことにより費用化するため、販売という行為そのものに直接的に連動していることから、変動費に該当します。

 ②作業を外部に委託して、その作業のサービスの報酬を受ける場合は、その外部委託先の仕事の成果によって売上が生じるため、外部委託費と売上高はセットになっていることから変動費に該当します。

 ③ソフトウェア開発などは、給料をもらっているエンジニアがソフトウェアを構築して、そのソフトウェア販売が売上高となるため、一見売上に連動しているように見えますが、給料などは労働の対価であり、ソフトウェアの販売数量などに直接比例していません。よって、この場合の人件費については、実は変動費ではなく固定費に該当します。
 変動費に該当するのは、②の例より、外部のエンジニアに支払った報酬費用のみとなるのです。

 

 このように、変動費を区別しようとしてみても、その費用の持つ元々の性質と、会社のビジネスプロセスを照らし合わしたうえで判断する必要があり、各々正確に把握しなければなりません。

◆固定費について

 つぎに「固定費」について説明いたします。

 会社全体の費用を「変動費」と「固定費」に分けるため、変動費以外の費用が全て固定費になります。

 ……。

 でも、ここで疑問が沸きませんか?

 固定費とは、変動しない、固定している一定の費用なのではないかと...。

 例えば、先ほど例にあげた人件費についていえば、基本給部分については「固定費」だけど、残業代は売上に貢献する作業なので「変動費」なのでは...。でも売上に直接的に連動しているものではないので変動費ではない、だから「固定費」? でも固定じゃないし... みたいな。

 これは、本当にその通りなのです。会社の費用を、全てきっちりと正確に、変動費と固定費に分けようとすると様々な壁が立ちはだかってきます。 

◆実際に計算するにあたって

 「変動費」「固定費」には色々な考え方があります。

 例えば、変動費の中には、直接的なものではなく間接的なものである「準変動費」まで含めてみたり、固定費も同様に、常に同額ではないけどもほぼ毎月発生している「準固定費」まで含めたりします。

 正確に「変動費」「固定費」を分けることは大切ではありますが、本気で分けようとするととても大変です。

 工場の電力使用量をとっても、その電力の使用場所や時間帯によって変動費になるか固定費になるかが違います。事務所の電力は基本的に固定費に分類しますが、工場の電力では、その機械を使用している電源は稼働時間を把握して変動費に振り替える必要がありますし、昼休みの電力は固定費に振り替えたりなど、はっきり言って労力ばかりかかってしまい、現実的に不可能に近いです。

 そして、労力の割には経営判断に与える影響はとても僅少なので、正直言って、やってもあまり意味はないです。

 そのため、変動費と固定費とに分けるときには、自社のビジネスプロセスを前提として、各費用の性質を見極めたうえで、「これは変動費」「これは固定費」とある程度決めてしまったほうがいいです。

 ※ちなみに、費用を分けるときは、変動費から決めていくとスムーズに進みます。

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