暗号資産(仮想通貨)の取り扱い②
譲渡原価の計算方法

 暗号資産の所得金額の計算上、譲渡原価の計算方法として『総平均法』と『移動平均法』があります。

 このページでは、計算のベースとなる資料を紹介しつつ、これらの計算の方法を解説していきます。
 

 ・暗号資産の年間取引報告書
 ・暗号資産の計算書
 ・総平均法(記入例あり)
 ・移動平均法(記入例あり)

 

◆暗号資産の年間取引報告書

 暗号資産(仮想通貨)は、取得や売却・交換といった取引ごとに金額や数量を記録しておかないと、正しい所得計算が行えません。

 所得計算には、暗号資産の時価だけがわかっても計算をするには情報が足らず、とくに暗号資産は値動きが激しいため、取引量が多ければ多いほどその管理は大変になっていきます。

 このような事実から、平成30年1月1日以後の暗号資産取引については、国税庁から暗号資産交換業者(以下、暗号資産取引所)に対して『年間取引報告書』の提示を依頼しています。

 『年間取引報告書』には、1年間における「購入数量」「購入金額」「売却数量」「売却金額」が記載されていて、暗号資産の所得計算に必要な情報が入っています。

 また、この報告書は暗号資産取引所から郵送されるのではなく、取引所のホームページからダウンロードするのが一般的です。
 

※年間取引報告書が発行されるのは、国内の暗号資産取引所のみです。海外の暗号資産取引所を利用される方は、別途集計・請求等をする必要があります。

◆暗号資産の計算書

 国税庁のホームページには、所得計算をしやすいように『暗号資産の計算書』というエクセルファイルが置いてあります。

 このファイルにはセルに関数式が入っていて、必要な情報を入力すると自動的に所得計算してくれる仕組みになっています。

 確定申告のときには、まずこのファイルで所得計算をしてから申告書を作成する方がいいでしょう。

※計算書はこちら→『暗号資産の計算書』

 

◆総平均法(記入例あり)

 総平均法とは、その年の初めに所有している暗号資産の評価額と、年中に取得した暗号資産の取得価額との合計額を、その年中に所有・取得した総量で除して計算した金額を、12月31日時点で保有している暗号資産の評価額とする方法です。


例:ビットコイン(BTC)を購入

 ・1月1日 3BTC 3,000,000で保有
 ・4月1日 1BTC 1,200,000円で購入
 ・8月2日 2BTC 4,000,000円で売却
 ・11月2日 1BTC 1,300,000円で購入

 

 ①3,000,000円(年初保有)+1,200,000円(4/1購入)+1,300,000円(11/2購入)= 5,500,000円

 ②3BTC(年初保有)+1BTC(4/1購入)+1BTC(11/2購入)=5BTC

 ③①÷②=1,100,000円…総平均法による1BTCあたりの評価額

 ④5BTC-2BTC=3BTC(期末保有分)

 ⑤ ③×④=3,300,000円(年末評価額)

 ⑥ ①-⑤=2,200,000円(譲渡原価)

 

◇年間取引報告書の表示

 上記の例にて、暗号資産取引所から提示される『年間取引報告書』は、次のようになります。


 

◇暗号資産の計算書

 上記の例にて、暗号資産の『年間取引報告書』を使って、国税庁にある『暗号資産の計算書』を使用すると次のようになります。

 総平均法では、『年間取引報告書』の数字をそのまま『計算書』に転記すれば、所得計算まですることができます。

◆移動平均法(記入例あり)

 移動平均法とは、暗号資産を取得する都度、取得価額の平均値をとる方法で、12月31日の直前の平均値が自動的に年末時点の評価額となる方法です。


例:ビットコイン(BTC)を購入
 (総平均法と同じ例示を使用しています)

 ・1月1日 3BTC 3,000,000で保有
 ・4月1日 1BTC 1,200,000円で購入
 ・8月2日 2BTC 4,000,000円で売却
 ・11月2日 1BTC 1,300,000円で購入


 ①4/1 3,000,000円+1,200,000円=4,200,000円
    4,200,000円÷4BTC=1,050,000円(1BTCあたりの評価額)

 ②8/2 1,050,000円×2BTC=2,100,000円(譲渡原価)

 ③11/2 (4,200,000円-2,100,000円)+1,300,000円
     =3,400,000円(年末評価額)

 

◇年間取引報告書の表示

 上記の例にて、暗号資産取引所から提示される『年間取引報告書』は、次のようになります。


 

◇暗号資産の計算書

 上記の例にて、国税庁にある『暗号資産の計算書』を使用すると次のようになります。(年間取引報告書は合計額しか書いていないため、取引ごとに計算する移動平均法では使用できません)


 

◆最後に

 暗号資産の所得計算をするうえで必要な譲渡原価について、『総平均法』と『移動平均法』を解説しました。

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