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株式等を購入すると、配当金や分配金を受け取りますが、この配当金や分配金には税金がかかります。
この税金を配当所得といいます。
配当所得は、配当金や分配金以外にも対象となるものも多数あるほか、課税の仕方も数種類あり、選択ができるようになっています。
ここでは、配当所得の税務について解説していきます。
・配当所得とは
・計算方法
・源泉徴収
・上場株式等の配当等とは
・課税方法
・申告しなくてもいい場合
・税金が安くなる税額控除
配当所得とは、株主や出資者が会社から支払われる次に掲げる所得をいいます。
①株式会社の株式の配当金や投資法人の投資口の配当
②持分会社(合同会社や合資会社など)などからの配当
③船主相互保険組合などからの配当
④生命保険会社などから受ける基金の利息
⑤投資信託(公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託以外)の収益の分配
⑥受益証券発行信託のうち受託者が税務署長の承認を受けた法人で一定のものの収益の分配
このうちよくあるのは、①④⑤となります。
配当所得は次の算式により計算されます。
収入金額は、源泉徴収前の金額が対象です。
収入の計上時期は、剰余金の配当などについては『効力発生日』ですが、投資信託の収益の分配などは『計算期間終了日』や『解約日』の時点で計上します。
配当所得では、通常は配当金などの収入金額だけが対象になりますが、配当所得にかかる負債の利子を収入金額から控除することが認められています。
配当所得の基因となる元本である株式などについて、その値上がりを期待して借入により購入することもあるため、このような借入の利子が控除の対象となります。
配当所得は、その支払いを受けるときに次の金額が源泉徴収されます。源泉徴収は概算による税金の前払のため、確定申告をすることにより、正しい税額に精算されます。
・上場株式等の配当等:20.315%(所得税15.315%・住民税5%)
・それ以外:20.42%(所得税。住民税なし)
※外国の株式に係る配当等が国内で支払われる場合には、配当等の金額から諸外国で課せられた税金を控除した金額に、上記の税率を乗じた金額が源泉徴収されます。
上場株式等の配当等とは、配当所得のうち次に掲げるものをいいます。(税制改正により、平成28年1月1日以後の利子所得も一部対象になっています。)
・金融商品取引所に上場されている株式等の配当等や利子等で、その上場会社の持分の3%未満を保有している場合(特定株式投資信託を含みます)
・公募証券投資信託
・特定投資法人の投資口の配当
・特定受益証券発行信託(公募に限る)
・特定目的信託(公募に限る)の社債的受益権の剰余金の配当
・特定公社債の利子
※これだけ見ると複雑に感じられますが、「投資を始めた方① 口座の種類ごとの税金の取扱い」で説明した『年間取引報告書』には、種類ごとに整理された1年分の金額が記載されていますので、覚えていなくても大丈夫なようになっています。
配当金や分配金等を受けて配当所得が生じた場合には、原則として確定申告をすることになりますが、配当所得ではその課税方法を選択することができます。
課税方法には『総合課税』と『申告分離課税』があり、どちらも選択可能です。(一部『源泉分離課税』のものもありますが、こちらは選択不可となります)
一点だけ注意点があり、上場株式等の配当等については、その年における全ての上場株式等の課税方法を統一適用しなければならないため、株式の銘柄ごとに選択することはできません。
総合課税とは、他の所得(利子所得・不動産所得・事業所得・給与所得・雑所得・一時所得・譲渡所得(土地や株式等以外))と合算して税額の計算をする方法です。
税額計算に使用する税率は、超過累進税率を使用します。
超過累進税率のもとでは、その所得の大きさによって税率が大きくなっていきます。
申告分離課税とは、上に説明した総合課税のように他の所得と合算する方法ではなく、他の所得とは分離して税金の計算をする方法です。
税率は固定されており、20.315%(所得税15.315%・住民税5%)となります。
申告分離課税は、株式等の配当や分配金のうち、上場株式等の配当等だけ選択することができます。
申告分離課税を選択すると、株式等の譲渡等で損失が生じた場合には、申告分離課税の配当所得と相殺することができ、相殺後にまだ損失が残っているときには翌年以後に繰り越すことができます。
ですが、下記で説明する『配当控除』の適用を受けることはできません。
源泉分離課税とは、配当金や分配金などを支払う際に支払者が源泉徴収しますが、その源泉徴収だけで課税関係が完結する方法です。
源泉分離課税の対象となる配当所得は、確定申告することができません。
・特定目的信託(私募に限る)のうち、社債的受益権の収益の分配に係る配当
・私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当
配当所得のなかには、上記の源泉分離課税となる配当等のほかに、確定申告をしなくてもいいものもあります。
確定申告をしないと、源泉分離課税のときと同様に、源泉徴収だけで課税関係が完結することになります。(これを『確定申告不要制度』といいます)
確定申告しなくてもいい配当所得は、次の配当等に限られています。
・上場株式等の配当等
・上場株式等の配当等以外の配当等で、1銘柄・1回の支払金額が次の金額以下のもの
→10万円×(配当の計算期間)/12ヶ月
(例)計算期間が6ヶ月で配当金が45,000円の場合
100,000円×6ヶ月/12ヶ月=50,000円>45,000円
∴ 確定申告不要を選択可能
配当や分配金等を受けた場合には、一定の要件を満たせば、税金を安くすることができる税額控除の適用を受けることができます。
配当所得に関する税額控除には、『配当控除』と『外国税額控除』があり、それぞれ適用要件が異なります。
日本国内の会社から株主に支払われる配当等は、法人税等が課せられた後の利益から支払われています。
法人税は所得税の前払いと考えられているため、『配当控除』は、国内での法人税と所得税の二重課税を排除するために設けられた規定です。
配当控除の適用を受けるためには、国内の会社から受ける次の配当所得で、総合課税を選択しているものが対象となります。
Ⅰ.対象の配当所得
①株式会社の株式の配当金
②持分会社(合同会社や合資会社など)などからの配当
③船主相互保険組合などからの配当
④投資信託(公社債投資信託・公募公社債等運用投資信託以外)の収益の分配で特定外貨建等証券投資信託以外
Ⅱ.控除額の計算方法
配当控除の計算をするときには、
まず上記の配当所得の④を次のように分ける必要があります。
ア.特定株式投資信託の収益の分配
イ.ア、ウ以外の投資信託の収益の分配
ウ.特定外貨建等証券投資信託以外の外貨建等証券投資信託の収益の分配
次に、配当控除の対象となる配当金等を次のようにグループ分けします。
Aグループ:①②③④アの合計所得
Bグループ:④イの合計所得
Cグループ:④ウの合計所得
このように分けたうえで、次の区分に応じた金額が、その年の税額から控除されます。
・課税総所得金額が1,000万円以下の場合
A×10%+B×5%+C×2.5%
・課税所得が1,000万円を超える場合
超えていない部分:Aは10%・Bは5%・Cは2.5%
超えている部分:Aは5%・Bは2.5%・Cは1.25%
外国の会社から配当等を受けた場合には、外国の税金が課せられるとともに、日本国内の所得税も同様に課せられます。
『外国税額控除』とは、このように国内外での二重課税を排除するために設けれている規定です。
『外国税額控除』では、配当控除のように総合課税だけでなく、申告分離課税を選択したときにも適用を受けることができます。
Ⅰ.対象の配当所得
外国の会社から受けた配当等のうち、外国で課せられた税金がある配当等が対象となります。
Ⅱ.控除額の計算方法
外国税額控除の額は、原則として課せられた外国所得税の額になりますが、下記の限度額を超えた場合には、その限度額が外国税額控除の金額になります。
限度額:その年の所得税額×(その年の国外所得総額/その年の合計所得金額)
配当所得に関する税務全般について解説しました。
配当所得は、所得税のなかでも課税方法を選択できるなど自由度の高い所得となっています。自由度が高い分、間違って選択してしまうと損する結果となりやすい所得でもあります。
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