不動産賃貸を始めた方⑦ 
他の所得と相殺できる損益通算 

 確定申告書を作成するときは、まず個人の所得を10種類に分けたうえで、各所得についてそれぞれ計算していきます。

 基本的に、その所得の種類ごとに所得計算がされていくため、種類の枠を超えて計算されることはありません。

 ですが、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得については、所得金額の計算上、赤字(損失)となった場合には、他の種類の黒字の所得と相殺することができます。

 これを『損益通算』といいます。

 ここでは、『損益通算』について解説していきます。


 ・損益通算の対象となる所得は
 ・不動産所得でも損益通算できない場合がある
 ・損益通算には決められた順序がある
 ・損益通算してもまだマイナスがある場合
 ・損益通算の記入例
 ・最後に

 

◆損益通算の対象となる所得は

 確定申告をするうえで区分される10種類の所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・譲渡所得・一時所得・退職所得・山林所得・雑所得です。

 不動産所得の計算上生じた赤字は、これらの所得全てと相殺することができます。

 

◆不動産所得でも損益通算できない場合がある

 不動産所得の計算の結果生じた損失の金額は、他の所得と損益通算することができますが、損失の内容によっては、損益通算できないものもあります。

 次に掲げる損失については、不動産所得の計算の結果生じたものであっても、損益通算することはできません。
 

 ①別荘などの生活に通常必要でない資産の貸付により生じた損失
 ②土地や借地権を取得するために要した借入金の利息に相当する部分

 

◆損益通算には決められた順序がある

 不動産所得の赤字は損益通算することができますが、損益通算をするときには、どの所得から相殺していくのかが、決められています。

 ①まずは、利子所得・配当所得・事業所得・給与所得・雑所得(Aグループ)のうち黒字の所得から相殺することができます。事業所得も赤字なら、不動産所得と事業所得の赤字を合算したものを、黒字の所得から相殺します。

 ②①をしても赤字(マイナス)の状態のときは、一時所得と譲渡所得(Bグループ)のうち黒字の所得(譲渡所得が赤字なら、譲渡所得と一時所得相殺後の所得)と相殺します。

 ③②をしてもなお赤字(マイナス)の状態ならば、山林所得(Cグループ)が黒字ならば山林所得から相殺し、それでも赤字ならば、最後は退職所得(Dグループ)と相殺します。

 

◆損益通算してもまだマイナスがある場合

 損益通算をしても、まだ赤字(マイナス)であるならば、その年では他に相殺できる所得がないため、翌年以降の所得と相殺することになります。これを『純損失の繰越控除』といいます。

 ただし、これは青色申告でないと、適用できません。

 損益通算をするにあたって青色申告である必要はありませんが、純損失の繰越控除をするためには、青色申告である必要があります。

 

◆損益通算の記入例

 不動産所得の損益通算をするときには、確定申告書と青色決算書(不動産所得用)のほかに、『損益の通算の計算書』を提出する必要があります。

不動産所得△1,027,000円 利子所得50,000円 配当所得500,000円 一時所得500,000円 の場合の『損益の通算の計算書』の書き方は次のようになります。

損益の通算の計算書

◆最後に

 ここでは、不動産所得の特徴である損益通算について紹介しました。

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